統合失調症で作業所にいたときの体験談。時給と月給はいくらになった?
2017/09/01
作業所って何をするところ?
統合失調長に限らず、あらゆる障がい者で特に身体に問題のない、精神障害を主体とした自宅から通う福祉施設が「作業所」と呼ばれています。
条件は就労する意思があり、一般企業での採用は困難ですが、社会復帰の第一歩としての存在価値があります。
事業所によっては2種類に区分され、統合失調症患者と直接契約した形で、自治体が決める最低賃金の範囲で給与を支払う雇用型と、
いわゆる共同作業で行う雇用ではないサポートなどがあります。雇用でないパターンでも、最低賃金以下ですが一応お金は支払われます。
どちらも「工賃」と給与に関しては呼ぶことが多いです。
雇用型は働いた分が時給で換算されるので、一応最低賃金ではありますが、社会復帰に直接近いものと想像しても問題は無いでしょう。
つまりは簡単な軽作業の仕事ですね。非雇用型の場合は、報酬目的で働くのではなく、あくまでも日常生活にプラスアルファした感じの、
グループ作業が殆どで個人評価はあまり重視されません。リハビリの一環と考えても差し支えないと思います。
スポンサーリンク
実際に働いた感想は?
実際に作業所に通うまでは、主治医と相談してハローワークで相談したり市役所などの行政機関の相談窓口から仲介を持って最初は見学に行きます。
統合失調症の治療経過の状態と、本人の強い要望次第で、雇用型を選ぶか非雇用型を選ぶかは自由です。
ただ、自分の場合は生活自体が出来ないほどに症状が安定せず、また元々は就職してトラブルを起こして自主退社でしたので、働かない期間が数年以上続いていました。
働く意欲も自宅療養中にはなかなか起おこらず、両親が高齢のせいもあって将来が心配になり、とりあえず集団に慣れると言う意味で、
非雇用型を最初は選択して自由勤務の形態になっていましたね。
一応時給制でお金が貰えますが、仕事というよりは簡単な包装とか、本当に誰でも出来る軽作業で、普通の人から見れば子供でも出来るような簡単な作業です。
通院の必要があったり、具合が悪い場合は申告すれば帰宅も自由です。欠勤も事前連絡すれば良いし、負担は非常に少ないというか、融通はかなり利きます。
仕事として考えると、「これで大丈夫かな?」といった印象はありますね。作業中もスケジュールは緩く、休憩時間も多いです。
社会復帰の最初の一歩は、これくらいでむしろ良いのかもしれません。
それでも、やっぱりあまりに工賃が安いので、半年ほどで雇用型の作業所の紹介を受けて、そちらで仕事を実際にやるように直に切り替えました。
こちらはタイムカードがあり、9時台程度に作業所に到着し、遠方からの利用者到着までは自由時間と言った感じでした。
実際の作業は、入所後30分後くらいから始まってましたね。
場所によっては地域支援センターと併設されていたり、ハローワークでは面接で内職みたいな形で、自宅で行う作業形態もあります。
行うのはパソコンを使ったデータ入力や、画像編集などスキルがあれば、それに対応した作業所の紹介を受ける場合もあります。
しかし実際はデスクワークは少なく、公共施設の清掃業務を複数の統合失調症の障害の方とやるとか、農協の野菜の袋詰め作業とか、様々です。
リサイクル分別とか非常に単純作業が多く、あんまり他人と話をしなくても気軽に出来るものが多いですね。
時給とはいっても、一般的な8時間労働基準がないので、数時間しか働けません。地域で違いがあるみたいですが3時間とか4時間くらいが多いですね。
この時間を自由に伸ばすことは出来ないため、雇用を本格的に求めるときの社会復帰には、ハードルはやはり高いと感じざるを得ないこともあります。
でも小さい社会復帰から始めるのが気持ち的には負担が少なくて良いと、個人的には思います。
どんな人たちがいるの?
実際に行ってみると、女性も男性も老齢、若年様々な人たちがいます。見た目は全く統合失調症とはわからないですよ。
中には「本当に障害があるの?」と思えるほどです。ただ、自閉症とか特徴ある障害者の方はすぐにわかりますね。
作業所の雰囲気は暖かいし、職員も普通に優しいです。
また就業支援が目的というよりも、集団での作業に慣れる意味合いが強く、人によってペースが違うので、作業が遅いとか覚えるのが遅い人は、
それなりのポジションは用意されています。統合失調症の場合は、大きな物音や怒鳴り声、あるいは大声などに敏感なので、作業所は静かです。
明るい職場といえばそうかもしれませんね。社会から隔離された狭い環境といった感じも少ないです。
また社会復帰しようといった強い意志を持つ人たちばかりでは、決して無い点も留意しておくべきですね。
スポンサーリンク
給与ってでるの?時給?それとも月給?
作業所の工賃は時給で計算されます。雇用型をA型、非雇用型をB型と呼ぶ場合が多いのですが、施設がそれぞれ違うので一緒になっているケースは少ないです。
A型の場合はその地域の最低賃金が設定されているので、大体740円あたりが多いと思います。就労時間に制限があり、3時間から4時間程度で帰宅になりますね。
1日にして2,000円から3,000円ぐらいです。支払いは月末とか翌月15日など作業所によって違います
。月では4万程度の収入ですが、振り込まれた万札を久しぶりに引き落として受け取って見ると、やっぱりお金を貰うというのは社会復帰の実感がわきますね。
B型の非雇用型の場合は、80円から100円の時給で、殆ど小さい子の最近のおこずかい程度です。
月でも3,000円とかあっても2万円程度ですね。最低賃金の基準が無いため、作業所によってばらつきがあります。お金を稼いでいる実感はやっぱり薄いですね。
成人では物足りなさをすぐに感じると思いますし、やりがいに関してもこのお金ですから、微妙なところがあります。
本当に統合失調症で社会復帰が難しい人には合っているとは思います。
社会から疎外感は感じないんですか?
社会復帰としての第一歩と感じている統合失調症の人もいれば、ある程度の年齢で既に就職は諦めている方も散見しました。
ただ全体に作業に対して、非常に真面目に取り組む方が多いのが印象的です。
疎外感はお金を稼ぐこともあって、あまり意識はしませんが、どうしてもまだ多くの人が働いている早い時間に帰宅するので、
最初の頃は疎外感は多少なりとも感じる事がありましたが、段々と慣れますね。
自由時間が多めな社会生活の様な感じがしますし、A型の場合は自宅から通えれば家族の支援で、働いたお金は自分の小遣いにすることだって可能です。
まだまだ傍から見れば、甘えた社会復帰のように見えますが、統合失調症の障害を乗り越えるというのは、こういう事からでも始めないといけないのです。
家族の反応は?
家族の本当の気持ちは、統合失調症が完治して完全な社会復帰を果たして、将来は独立、結婚までを心のどこかで希望していると思います。
しかし統合失調症の人の多くは、社会生活で数々の失敗を繰り返し、既に自分は何処か正常じゃないといった感覚があるものなんです。
通常の社会生活に戻るにしても、家族の支援やお金の問題は付いて回るでしょうね。そうであれば、お金の問題はとても大きいです。
加えて仕事ももっとレベルを上げなければいけないと思います。
やって良かったと思う事は?
私の場合の統合失調症自体が治療期間も長く、しかもある程度の年齢になってから本格的な治療に取り組んだので、
会社などでの人間関係のつまづきはかなり長く尾を引きました。人間不信になったのが一因だと思います。
それを解消しながらある程度のお金が手に入るのなら、作業での仕事は楽でその分収入は低くてもやって良かったと思います。
何しろ、周囲は統合失調症などの精神障害への理解がありますので、この違いはかなり大きいです。
デメリットは感じましたか?
作業所の仕事でデメリットがあるとすれば、やはり単調で変化のない仕事に加え、もっともらしい給与とは言えないお金の問題があるとは思います。
それに慣れてしまって、あまりに居心地が良すぎて、かえって大人の独立心を阻害する側面は、どこかに感じることが多かったですね。
他の統合失調症患者にオススメできますか?
何もやらないで一人で自宅の部屋にこもって考え事をするよりも、体を積極的に動かして仕事を見つけ、少なくてもお金を稼ぐということは、
直接の社会復帰に繋がる事は確かです。何より孤独を感じません。
家族といても、相手は統合失調症の経験があるわけではないのですから、症状への本当の理解はやはり障害を持つ人同士でしか、共有できないものです。
作業所の仕事をやることは、どんな仕事や少ないお金しか貰えなくても、やるべきだとは思います。
スポンサーリンク