分かりやすい!看護師が教える統合失調症の看護計画の立て方
2017/05/11
統合失調症をわかりやすく説明
精神障害としては、非常に患者数が多いのが統合失調症で、特徴は成人していく中で社会性を身に付ける過程、またはその社会性の中において変化に対応しきれない後天性の障害です。
根本的な原因は不明ですが、精神的に混乱しやすい状況に置かれた場合、人によっては想像が妄想と区別が出来なくなり、身体的」な幻覚や異常行動によって現れる疾患です。
一番他の精神障害、ADHD、不眠などの精神障害、うつ病に比べて治癒しやすいので、精神病としてかつては認知されていた代表格でもあります。
この「治せる」という部分は、あまり知られていませんね。
今回は統合失調症の看護についてを、看護婦さんに聞いた看護方をご紹介します。
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統合失調症の前兆のあたる時期
周囲の人たちと「自分が馴染めない」といった、フワフワした違和感から始まります。
初期段階でよく見られるのが、一時的な不眠、情緒が睡眠不足によって過剰な神経過敏で、イライラするなどです。
常に不安定な気持ちのまま1日が推移するため、落ち着きがなくなりますが、物事の判別や仕事や勉強、家事にはまだ耐えられている状態です。
統合失調症の急性期は?
「何かを盗まれている」、「いつも監視している人がいる」、「悪い噂を流す人がいる」など、想像を超えて現実に起こっていると、確信に近い意識を持つようになります。
こういった妄想は、通常は統合失調症以外の人にも「妄信」という、証拠も無いのに信じる人がいるように、実は自然な考え方の一つです。
オカルトや超能力などもそれに近いですよね。
しかし統合失調症の場合は、常にすべてが「自分に関係している」と考え、それ全てがマイナス思考に働くのが特徴です。
不安も大きくなり、緊張感も継続するので、ある種ストレスですが、これが24時間継続し続けるということになります。
統合失調症の消耗期は?
統合失調症が「病気」に近いのは、必ず一定の周期で休息期間が出現することです。この常態になった場合、過眠が非常に多くなります。
昼夜が逆転することも多く、ネット依存や何かの趣味に一人で没頭するケースも多いですが、生活リズムは乱れたままです。こういった意味でも、統合失調症は心理的ストレスの回復と復活の繰り返しであるとも言えます。
統合失調症の回復とは?
心理的ストレスから解放され、不安や焦燥感や緊張はほぐれますが、環境や状況が再び元の状態に戻るのなら、もう一度統合失調症の前兆が出現する可能性が高くなります。
そこで統合失調症の看護は、まず前兆を見の逃さず、急性期の想像が妄想に行きつくまで心理的ストレスをコントロールしていく看護が重要になるのです。
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看護計画1:観察
まず統合失調症患者のほとんどは、「自覚症状」はありません。皆、「なんとなく疲れた。」とか「ストレスがたまった」など訴えるだけが多いです。
しかし変わるのが、その生活です。食事を急に止めたり、拒食、あるいは過食も極端になったり、間食が急に増える場合もやはり要注意です。
睡眠は入眠障害で寝付けない事が多くなります。睡眠障害と違うのは、その状態がやや急激に起こることです。
身だしなみが急にだらしなくなったり、整理整頓をしなくなるなど、そうした変化は統合失調症の前兆になります。
この場合の看護は、統合失調症の方の「自発性」を引き出すことです。
後片付けなどは、2人で同時に行いサポートしたり、夜の睡眠は家族などでも物音に気をつけたりして、静かに過ごせる環境を作ります。
幻覚や妄想などを統合失調症の人が訴える場合は、付き添いや傍にいたりして、言動の否定はせず、
お互いにその幻覚の状態を確認して「何もなかった」、「なにも聞こえない」など、現実に引き戻す言葉をかけてあげます。
統合失調症への会話は、症状の出ている人の自発性に任せることです。
看護計画2:実施期間
1日の行動の中で、活動意欲が低下する時間帯やタイミングを見るように、看護はなっていきます。
統合失調症になるメカニズムはまだわかっていませんが、きっかけや発端となる事象はある程度あるからです。
趣味でも計画性のあるというより、集中力の度合いを見る看護スタイルになります。
統合失調症は心理ストレスが強いため、ある種の強迫観念にとらわれている緊張状態があります。
そこで外出は常に2人で行動し、何かを手伝ってもらったら、その行動や言動に肯定的で、良い評価を与えることです。
それと重要なのが休息で、これは他者が「休息はいつでも良い」という意識を、統合失調症の人に持たせるような看護をします。
集団行動も少人数で、競争の無い「誰もが必ず負けられるゲーム」のような、リクリエーションをすると良いですね。
そしてその中での言動や行動を記録して、口論やトラブルがあった場合は仲裁のみで、指導はしない方針で看護は続けます。
看護計画3:教育時期
統合失調症の場合、指導というよりも「教育」に近い形で治療を続ける看護になります。
その教育とは、何気ない日常会話の中で、「今日は晴れているね」とか、話題のきっかけを作ります。
統合失調症の看護の目的は、「生活にとって大切なのは何か?」を常に、統合失調症の人に反復して理解してもらうことです。
「今日は休んでもいいんじゃない?」とか、協力的な補助も統合失調症の看護には必要です。
統合失調症は再発を何度も繰り返す特徴が強い、精神疾患です。
自発的な行動が出来るようになったら、それで治癒したわけではなく、看護は継続して統合失調症の「前兆」の時期をよく知っておくのが、看護の基本になります。
生活に支障がないレベルとは?
統合失調症も含めた精神障害、精神疾患の誤解は、要因が一つでは決してないということを、一般的には理解が進んでいないことにあります。
統合失調症の精神疾患は治癒しやすいと言われていますが、それでも実際に精神科や心療内科に通院しないのは、「心の病」という言葉にあると思います。
精神障害や精神疾患は、後天性で実際、同様な条件と環境が揃って高い精神的負荷がかかれば、誰でもなりやすい「病気」が統合失調症です。
「被害妄想」などは、その一つですね。余りに自分の立場が追い込まれれば、反発として自分を大きく見せるなどは、人間の精神性としては正常な反応です。
ただしそれが、生活にまで支障が出るのが問題なのです。
統合失調症の看護は、「睡眠」、「日中の能動的な活動」、「プラス思考とマイナス思考のバランスが良い」といったごく普通の生活へ戻す看護となります。
それが統合失調症の治療でもあるんですね。
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