ケガをさせる危険が高い攻撃的な統合失調症の対応方法・接し方
2017/07/03
統合失調症の考え方の流れ
統合失調症の症状を見る場合、発言とか行動には本人だけの意味があります。
特に暴力に訴える場合は、頭の中では「命令」とか、「混沌とした妄想」とか、「脅し」のような感覚に支配されている感じです。
それが自分がきっかけではなく、何気ない言葉や周囲の何気ない動作に反応して、その我慢の限界を迎えると、暴力や物を破壊したりする行動に移っていきます。
ここで問題なのは、こうした思考のきっかけはすべて「外部の刺激」によるものです。特に物音と話し声に鋭く反応します。
普通の人は、賑やかな人の多い場所では、人の話は聞こえても、興味や関心があること以外は頭に入っても、覚えようとはしません。
しかし、統合失調症の場合はこういったフィルターに、まるで穴でも開いているかのように、ところどころ”ハッキリと”聞こえてきます。そこが非常に印象深く記憶されるんですね。
しかも、ところどころ断裂していて、繋がりも関連性も無いのですが、緊張した精神状態なので敏感なんです。
それが頭にこびりついた状態なので、いつの間にか誰も居なくても、「近くに誰かいるみたい」と、話し声が頭に聞こえることがあります。
この症状は、精神的な緊張状態が長く継続して起こるといえます。
虫など目の前にいないのに、追い払う動作をしたり、ブツブツ独り言を言っていたりと、無意識に脳の中の誰かと話をしていたりします。
いわゆる妄想が多いのですが、それが現実と境が無いのが特徴です。特に相手もいないのに、
誰かと会話しているような感じの独り言は、声が大きい分、統合失調症の特徴ですね。
よく考え事が多い人は独り言が多いものですが、統合失調症の場合は、見えない相手がいるように見えるのが特徴です。
そして奇声をあげたりするのは、暴力と同じで、頭の中の誰かを頭の中で攻撃していたり、ケンカしていたりと複雑な妄想が働いていることも多いです。
妄想が進んで急性期では、本当に目の前の自分の影が他人に見えたりして、それが自分を常に監視する対象と考えて、物を投げつけたりします。
こうした行為が他から見れば、攻撃的に見えるんですね。
実際、現実の人の記憶から、憎しみを覚えて攻撃的になるのではなく、妄想と幻覚に対して攻撃的になっているともいえます。
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統合失調症の奇声の特徴
統合失調症の攻撃性は、奇声という形になって現れる場合があります。
これは興奮状態というよりも、自分の頭の中の対象に対して、怖がったり、怒ったりしていることが、言葉になって出て来る感じです。
実際、天気の影響なのか、天候が不安定になると、こういった妄想が増えてきますね。特に雨音などは、人の話し声などに聞こえたりもします。
過剰なストレスとは、統合失調症の場合は脳の活動が「暴走」に近いので、やたらと1日中考え事が多すぎるのです。
それも全部、途切れ途切れの記憶のつなぎ合わせですから、脈絡が無いため、一人パニックになっている感じですね。
統合失調症の暴言の特徴
統合失調症の場合は、陽性反応として幻覚が非常に多いです。妄想は常で、毎日起きている間は、症状が治まってもどこかに残ります。
それと経験でわかりますが、非常に夢も毎日見ますね。まず熟睡した感触は無いです。最近では特に目立つのは、テレビの音ですね。
俳優の怒鳴り声とか、大げさな笑い、物を叩き割るような衝撃音は、統合失調症の場合はかなり堪えます。耐えられない事が多いですね。
そういった日常にはあまり頻繁にない音は、頭の中でガンガン響く感じがするので、頭に来てしまう事も多いです。
突然奇声を発するパターンもこういうのが多いですね。
それが妄想の対象ともなるので、ドラマの主人公にテレビを見た後でも、怒りがこみ上げて暴言を吐くなどもよくあります。
また似たような体型をした家族や、兄弟とか、同じような印象を持つようになると、妄想と現実が直結して、暴言や暴力、奇声、あるいは唾を吐きかけたりと、非常に迷惑な事をしてしまう事もあります。
統合失調症の暴力はどこへ向かうか?
統合失調症が攻撃的で奇声や暴言、暴力は、最初は身近な人、それも最も親しい筈の家族に向かいます。
結局、妄想に捉われているので、急性期になれば親しいとか、家族だといった区別はほとんど意味が無くなるからです。
「監視されている」となれば、可能性が高いのは、家族とか身内という立場を除けば、身近な人物が正にそれですよね。
想像が飛躍しているというより、幻覚に近い状態に自分以外の人物を、妄想と混同してしまうのです。
ですから、その暴力も暴言も、意味不明で時には意図的にイタズラに見えるのかもしれません。
明確な攻撃性と暴力の対象は妄想といった想像の中あるので、現実に家族に攻撃的になって暴力や暴言をしていても、統合失調症の人は家族を見ているわけではないのです。ここが一般的に理解されない部分でしょう。
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統合失調症がどうやって他人と接しているか?
統合失調症は、まず強い「信念」を急性期までに発達させます。
これは妄想の中で起こる思考の固定化で、他人から否定されても絶対に屈せず、考え方を変えられない特徴です。
しかし最初からそれを強く抱いているのではなく、焦りや何かの失敗など、ちょっとした行動のしくじりなどがきっかけになります。
その失敗には、自分以外の人が関係している場合がほとんどで、自分では大丈夫だと思っても、人からの信頼が低いと思える時は、人一倍不安が高まります。
例えば普通の人であれば、ふざけてちょっとからかう事は良くありますよね。
その時相手は決して悪気がなくても、「周囲を明るくしよう」と工夫しているに過ぎません。
統合失調症の場合は、この複雑な考え方、相手の気持ちを読み取ることが、かなり出来ないパターンが多いです。
普通は相手に何か言ったとしても、その話、会話には言わなくてもわかるだろうという、”含み”が多いものです。
「バカ」と言われても、それは侮蔑じゃなくて、親しみを込めているってことを、相手に対して悟るような印象を持たせることがあります。
統合失調症の攻撃性は、そうした一種のフィルターのところどころが破けて、ストレートに強い言葉だけが記憶に蓄積される特徴があります。
「明るく馬鹿と言われたけど、本当は自分を見下げている。」とか、ある種、想像力が逞しいんです。
しかし一方で頭の中には、「あの人はそんなことを言うはずがない。」という考え方も同時に持ちます。
ここからが問題で、2つ以上の混在するパターンが同時に考える特徴が脳の中に現れてきます。
複数回似たような経験や人の会話を聞くと、やがて「やっぱり本当だ。」となり、やがて「絶対間違いない。」と想像が進行していくのです。
何でもない会話が統合失調症の頭の中では、勝手に話が膨らんでいるんですね。しかもそのスピードが速いのも大きな特徴です。
そこから、「でも何故、人は自分を卑下するんだろう。」という思いも、ここで生まれたとします。
新しい情報の中に似たようなフレーズ、過去の会話を進ませた想像力、それに対する懐疑的な思い、これがいくつも頭の中で繰り返されます。
そしてそれが思考の限界に達する時が、幻覚です。この頃には、夜も殆ど寝ていない状態が続くようになります。
普通の人は「悩み」となる自分の対処に回帰しますが、統合失調症はこれ以上「悩み」まで抱えられないのです。
それくらい猛スピードで思考が止まらない感じです。その限界が暴力や、奇声といった攻撃的な行動にとなって出てくるのです。
幻覚は常に見えるようになれば、それは脳が生み出した想像ですから、消えるはずがないのです。
やがて、破壊的に暴力や暴言、奇声や大声で何とか状況を打開しようとします。
そこで、こうした攻撃性が高まった統合失調症とどうやって会話や、接し方をしたら良いのか、具体的なヒントを説明します。
これは経験があるからこそ、自分でもわかる部分です。
統合失調症の急性期の特徴と対処
まず絶対にしてはいけない事が、一つあります。それは「曖昧な相槌をしない」ということです。
人の会話の途中で、「ああ成程、そういうことか。」と思って、思わずニヤリと楽しい会話でもないのに、
笑顔を見せるような人は統合失調症の方と会話は出来ません。笑顔は印象として非常に強いからです。
思った事を正直に口にするべきです。「ああ成程、そういうことか。」を心で思うだけで、話の続きをしないことです。
「そうですか。」、「なるほどそれはわかります。」など、話は1対1の反応でないとだめですね。
それと否定の仕方です。統合失調症の人との会話は、時に支離滅裂で話が長い場合が多いです。
その途中で話を遮り、途中で「否定」を挟むと、会話の集中力が今度は頭の想像で「否定について」の思考を生み出します。
統合失調症の攻撃性、暴力や暴言には考えていることと相対的な否定は同時に対処できないのです。
相槌もハッキリと「うん」、「そうだね」など、統合失調症の人に聞こえるように接します。
暴れそうな時には、妄想の起爆剤となるような刺激はすべて抑えます。
テレビの音声、話し声などはせずに、統合失調症の人が話しかけたら、答えるだけで良いですね。
無理に引っ張ったり、抑え込むと、今度は「自分がやられる」と統合失調症の人は思考を切り替えてしまいます。
特に、普段から独り言が多くなり、その声質が高くなったり、大きくなったり、奇声を発した場合は、割れる物や壊されて困るものは部屋から除去します。
睡眠をなんとかとれる状態の時は、昼間でも早朝でも統合失調症の人が寝ていたら、絶対に物音を立てない方が良いです。
空調を調整し、適度な室温で窓も閉めた方が良いですね。統合失調症の人は、ほぼ慢性的な睡眠障害になります。
寝ていても意識ははっきりしていることが多いので、長時間寝ていても起こすべきではありません。
急性期の途中に寝る行動に出るのは、統合失調症に人にとって大変貴重な時間となります。
激しい暴言と暴力に耐えるべきか?
どうしても全く人の対処に正常に反応しない場合が、統合失調症の急性期にはあります。
大抵は薬すら受け付けないので、暴力、破壊などの行動がエスカレートしている場合は、家族の対処は無理でしょう。
自分の家族が統合失調症なのかよくわからない場合は、勇気をもって警察を呼ぶべきです。ここからは措置入院の対処になります。
統合失調症の場合、行動が目立って大きくなる時が危険というより、激しい感情がいったん収まる時が怖いのです。
激しい思考の繰り返しと幻覚や妄想、そうした脳の”暴走”が止まると、統合失調症の人の頭の中には、一体何が残っているか問題となるからです。
激しい思考の末に、「自分が原因だ。」、「根本はこの人だ。」と結論づけた場合は、自傷、他傷の危険度があがります。
寝られるようにしていくことが統合失調症の攻撃的な側面を防ぐのには有効です。
急性期中の統合失調症には、自覚は全くなく、むしろ妄想や幻覚は「確信」に変わってますので、説得も会話も治療もすべて拒否されます。
どのタイミングで接していけば良いか?
統合失調症の独り言や、ぶつぶつとしゃべる様子は妄想の別の形の表現です。
普通の人でも考え事が多い人ほど独り言も多いものですが、統合失調症の人は聞き取れないくらいの、意味不明な内容や、独り言に”波”があるのが特徴です。
既に攻撃的な前兆ですので、この時点で投薬が出来るかどうかがカギですね。
また、統合失調症の初期段階では、無意識にボーっとしたり、人の話を上の空で聞くような素振りが、見られることがあります。
統合失調症の人の、普段から何か興味のあるものや、関心の高い事を把握しておけば、このタイミングで、その話題に触れたり、会話をその方向へ持っていけば、複雑な思考を単純なものに変えることが出来ます。
また統合失調症の特徴として、「短時間に極度の高い集中力」という良い点があります。そして手順が決まったことが得意です。
そして必ず何でも、途中で終わらず、短時間で完結する作業などです。
全く考えないで済む、決まったコースの散歩と1対1の「対象のある話題」などは、統合失調症の初期段階では誰でも出来ることです。
「対象のある話題」とは、一緒に見た景色でも、なんでも構いませんが、想像を使わず見れば理解できるようなことです。
自分と相手の1対1以上の人間関係を連想させる会話は、非常によくありません。
暴力や暴言の再発は?
妄想や虚言は統合失調症の場合、治療が進んで通常の生活に戻っても、多少は残っているものです。そのため投薬は必須です。
ただし適切な薬の服用と、複雑な人間関係などの環境の影響がない静かな環境の条件が揃う事です。
暴力や暴言、奇声を発する攻撃的な行動は、統合失調症では出現しなくなります。
家族の中に統合失調症の人がいる家庭は、出来れば常に接する人は、最低限一人は必要です。
その人が統合失調症の会話や行動から、薬服用の進言や、とりとめのない話を受け止めることで、統合失調症の妄想という、大きな障害を抑えることになります。
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