統合失調症は記憶力が落ちる?その原因と記憶力回復にできること
2017/08/21
陽性症状と陰性症状の他に統合失調症が抱える問題とは?
日本では100人に一人の割合で発症する可能性が高いとされる、統合失調症ですが、特徴的な症状の中には記憶に関するものもあります。
それが認知機能障害です。統合失調症の威記憶力の障害や妄想の要因ともなるこの認知機能障害とは一体なんでしょうか?
まずこの認知機能障害の本質は、本来は素直に受け入れれば問題のない視覚的情報や、聴覚などの情報を、脳内で独自のフィルターにかけているような症状です。
この状態の事を陽性反応と呼びます。
常に何かの因果関係を、外から入って来る情報と一緒に取り込んで、関連があるかのように何度も記憶を蘇らす、非常に統合失調症の大きな特徴を示すものです。
一般的に「統合失調症のイメージ」のほとんどは陽性症状であるといっても過言ではありません。
一方で、統合失調症の記憶力でよりマイナス面になる側面は、無為自閉と呼ばれるもので、こちらは一切の情報を自ら遮断する強い自閉症の症状です。
面白くも無い何でもない時に一人で声を出して笑ったり、身なりや髪型に無関心で不潔や、部屋がゴミだらけになような状態です。
一見すると、統合失調症は「すぐキレる」という突発的な印象を持たれる場合がありますが、
この2つは常に入れ替わりながら発症している点が、他の精神障害とは異なる点です。
更にこれに認知機能障害が加わることになります。
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妄想が単なる想像の暴走にと留まらないように、記憶力を活用する
普通の健康的な人であれば、その経験や体験を持って学習し、得た知識を組み合わせて脳の中で想像し、結果や過程を進めることが出来ます。
つまり、問題は単語の様に1個づつ整理して物事を普通は暗記しているわけではないのです。
これは記憶と組み合わせと、情報処理能力、つまり脳が学習や想像を正しく妄想ではなく、現実に沿った形で整理できる能力があるからだとも言えます。
ところが統合失調症の場合は、まず集中力が最初から削がれているか、あるいは集中出来ないほど、何か一つの事に捉われている部分があります。
決して記憶できないのではなく、覚えた内容は「未整理」のまま脳に記憶され、それが起きていても夢を見ているように脳の中で勝手気ままに結び付けられ、
独自のストーリーを作り上げます。
一般の人でも夢ではリアルに感じていても、思い出せばそれは確実に非現実的な夢であると起きれば理解できます。
しかし、統合失調症の場合はこの夢の中の状態のまま目覚めているのと同じです。
こうなると、現実に起こっているリアルな事象から、学習してそれを想像力として妄想以外の考えに結びつけるのは極めて難しくなります。
つまり状況から学習することも、想像と現実の区別が上手に出来ないのです。
また周囲に対しての状況の認知能力も低く、これでは当然勉強や仕事に対して、新しい学習や知識を活かした想像力も発達しません。
シンプルな学習や単純作業をなめてはいけない
まずこうした認知機能障害を乗り越えるというよりも、判断状況となるその状況を変えるのが先決になります。
それには、普段の行動を非常に簡素化して単純化することと、部屋の整理によってどこに何があるか、部屋に入ればすぐわかる状況を作り出してあげることです。
実際体験上よくわかるのですが、集中力がやや元から弱いところがあるので、置いた物が見当たらなくなるというのは、統合失調症にはありがちです。
学習能力が低いというよりも、むしろ一つの事に奇妙に集中する能力だけは非常に強いです。ただしその集中を向ける対象が、他人から見れば変に見えるんですね。
しかし、いくら統合失調症であっても、何でもない習慣は学習して覚えてすんなり出来ることがあります。
「毎朝顔を洗う」とか、「食事後に歯磨きをする」などがそうです。
また比較的、投薬によって症状を抑えた安定した状態のときは、誰からの指導も受けずに普通の生活をする、一人暮らしの統合失調症も存在し、現に私がその一人でもあります。
想像性は活力の源、学習に楽しさを与えるリハビリテーション
大抵の人は、「不規則な生活リズムが不健康」という認識を持ってるので、統合失調症も心身症と同じで、単に安息できれば治るものと誤解してしまいます。
ところがそれとは反対に、統合失調症の場合は、自分の調子とは全くそぐわない、一般常識が大きな障壁となっていることが多いのです。
ある程度「これくらい言わなくてもわかるだろう。」というのは、統合失調症にとっては、理解力が足りない発端となります。
想像で補完して継続しなければならない事よりも、既に習慣として覚えた記憶力の方が、統合失調症は記憶力を引き出すのが得意です。
それには、先に説明した陰性症状である無為自閉から、陽性症状の一歩手前のモチベーションがある程度ある時に、
効率よく学習する機会や、想像も記憶力の組み合わせで出来るように訓練するしかありません。
ここに統合失調症のリハビリテーションの価値があります。具体的には症状が安定次第、出来るだけ作業療法を積極的に活用することですね。
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最新統合失調症専門の学習、記憶力カリキュラム
作業療法とは、比較的単純な作業や同じような障害を持つ人同士で、作業療法士の管理下で「完結できる作業」を繰り返し、達成感を覚えるというリハビリです。
リクリエーションと仕事の区別を明確にし、まず「楽しい」という感情を繰り返し体で覚えることです。
作業療法士は国家資格ですので、計画的に「日課」を続けることが出来ます。
この作業をやり終えるという達成感の学習が記憶力を刺激し、脳内のドーパミン抑制には一定の効果があるとも言われています。
特に近年では、SSTと呼ばれる社会生活技能訓練が取り入れられ、施設のグループ内で同じ患者同士が、グループの目標に向かって個別に一つの課題を練習する訓練が行われています
妄想から建設的な想像力と、学習の楽しさに慣れていくこと
とにかくまずは、統合失調症の方が記憶を回復したり、あるいは適切な体験から学習し、
妄想ではなく建設的な想像力を養えるように、集団での環境にいち早く戻ることですね。
引きこもりの様に社会から断絶されたままでは、能動的な学習も記憶力もまず回復する兆しはなかなか現れません。
もう成人しているからとか、そんな基本的な学習は馬鹿馬鹿しいと高を括らずに、積極的に公的、民間の更生施設や体験的学習能力を鍛えることを、私からも強くお勧めします。
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