統合失調症が知っておきたい運転のイロハ?法律から免許更新まで?
2017/06/28
統合失調症と道路交通法
現在、統合失調症の自動車運転では、道路交通法はどのような対処になっているのでしょうか。
平成26年6月から施行された新しい法規では、一定の病気が認められた場合は、免許の拒否と取り消し処分の対象となっています。
その中には睡眠障害、認知症、統合失調症なども含まれています。
ただしこの厳しい条件には、「幻覚の症状」や「運動障害」などが含まれているので、突発性の失神や重度の眠気など、定義は厳格に決まられていません。
それよりも、統合失調症と関連が深い法改正は、病気などの症状が出ている患者を診察した医師の独自判断で、
診断結果や内容を「任意」に、医師の方から公安委員会に提出出来るという部分です。つまり総合的に医師の判断次第な部分が強いのです。
統合失調症なら誰でも運転免許を取り消しになるわけではありませんが、自動車運転中に事故を起こした場合、
自分が統合失調症であることは、警察に申告するタイミングは出てくる可能性は高いですね。
その際に、医師の診断書が必要となり、怪我などの自分が人身事故として取り扱う事になれば、
当然そこで「お薬手帖」などの処方薬を医師は見ることになるでしょう。医師から診断書に精神障害の記載があることはあり得ます。
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統合失調症と免許更新
巷では、「統合失調症になると、免許更新が出来ない」との情報も錯綜していますが、具体的には、精神障害というより、
既に日常生活で支障をきたすレベルでの、簡単な設問にマルかバツで答えるだけです。
過去5年以内に病気を理由に意識を失ったとか、睡眠時間が充分なはずなのに、日中眠くて起きていられないなど、
特に統合失調症と直接関係あるものではありません。
私個人もそうした免許更新で免許センターに行ったときは、その設問には精神障害を問題とするよりも、
投薬による影響や失神や眠気に関することだったと記憶しています。従って、毎回免許更新は問題なく出来ていますね。
但し後述しますが、問題は免許よりも自動車保険、いわゆる任意保険加入の方が問題になります。
交通ルールと一般の人の考え方
統合失調症だから、車の運転は危険でしょうか。それは本当に大きな誤解だと思います。
自分は既に自動車に乗ってはいませんが、やはり保険の都合で自動車に乗るのを諦めただけで、運転自体は無事故、無違反で通しました。
これは何故かと言えば、自動車の車内は、同乗者が居なければ完全な閉鎖空間だからです。
誰とも話をする必要もないし、機械的な操作も慣れていれば、全く動じません。
交通ルールも、速度規制とか停止、徐行を守れば複雑な事は何もないからです。自動車の操作も、アクセルとブレーキ、それとライトの操作くらいでしょう。
後は、交通の流れを読むくらいです。
では統合失調症の方が混乱しやすい状況とは、一体なんでしょうか?それは紛れもなく「対人」です。
特に歩行者程予測不能な行動を、道路で平気で行える存在は無いでしょう。それは多くの自動車ドライバーにとって、共通の脅威ではないでしょうか。
それに自転車です。日本の自転車の交通マナーの悪さは、極めて悪質で酷い事が多いです。車道の逆走、信号無視はざらにあります。
こうして考えると、道路交通や自動車運転では、交通マナーと交通道徳をどのように考えているかの違いだけです。
「空いている道路なら、ちょっとくらい速度オーバーしたくらいで事故は起きない」と、妙な自信をつけている方も多いですよね。
黄色信号も「あれは止れじゃないから通行して良い」とか、速度を急に出す人も多いです。
統合失調症の原因は、言い方はきついですが「他人」によって悪化します。
基本的なルールを守っても、「そんなのは気にしなくていい。」とか、優先順位がキチンとあったのに、
「まずはこれをやれ。」という、各人の都合でコロコロ変える人は大勢います。
まして障害で記憶も曖昧なら、「こんなことも覚えられないのか。」や、「いちいちもう一回教えるのは面倒」のような、
一方的な”常識”、ローカル・ルールを持ち出す人もいます。
制限速度以内なのに、「あの車は遅い」とクラクションや、無理な追い越しもこれに含まれるでしょう。
こうした各人身勝手な都合で、急制動、急旋回、予測不能の自動車の動きは、むしろ障害の無い人の方が、心に「自信」がある意味では危険です。
警察白書では、交通事故原因は、「安全不確認」、「わき見運転」、「危険予測の不完全な動きと停止の不確認」などを取り上げています。
これらは、統合失調症と直接関係あるものではありません。全てドライバーの不注意によるものです。
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統合失調症と自動車保険
自動車運転と事故はつきものですが、やはりそこで任意保険加入はどうしても、後の人身賠償の際に必要となることがあります。
この任意保険契約については、ここでは範疇外ですので割愛しますが、契約条件の中に、精神障害の通院中や治療中などの質問があります。
統合失調症は障がい者手帳などを保有している場合、契約時に提示を求められる場合もあるでしょう。
その際、契約は非常に難しい事は覚悟しておいた方が良いです。ただし、免許が問題なく交付されていれば、加入出来る場合もあります。
眠くなるような睡眠導入剤を毎日服用するケースなどでは、まず加入は無理ですね。またいざ事故の場合も、精神障害を理由には出来ない事もあります。
混乱しやすい道路状況とは?
統合失調症は、「複数の事を同時に整理しながら考える」ということが、非常に難しい精神障害です。
特に途中からどんどん、新しいやるべきことが重なってくると、ある種のパニックに陥ります。
そうした状況、精神的混乱が生じやすいのは都会や、駅前などの歩行者、自転車、バスや自動車が混在する空間です。
しかも一定の交通の流れがあるため、素早い判断が常に求められます。こうした地域は、統合失調症のドライバーは避ける方が良いですね。
特に約束などの、時間的制約がある場合などは、自動車を使わない方が良いです。
一方で、郊外へ向けて高速道路などの、自動車が一方向だけに進むような場合などは、精神障害は何も問題にはなりません。
休みの日に国道を走ったり、広い市道などの走行では、むしろ開放的で自動車操作も楽なので、精神的には落ち着いて出来ます。
あまり決まったルートを最初から決めずに、ある程度目的地までの方角に車を走らせて、
時々休憩しながら地図で確認しては走るといった方が、統合失調症では安心して運転できます。
あまり良くないのはカーナビですね。運転中、余計な電子音や話し声は運転に集中出来ないし、人をたくさん乗せてのドライブもあまり良い心地がしません。
一つの見落としとか、操作ミスは事故に繋がりますから、やっぱり統合失調症の方は、同乗者は1人くらいがちょうど良いです。
とにかく頭に入る状況や情報が多いと、統合失調症は混乱しやすいのです。
自分とは全く関係の無いラジオの音声なら気になりませんが、話題の中に自分に関することがあると、統合失調症の場合は動揺しやすいからです。
こうしてみると、統合失調症の場合は自動車運転に支障がある、というのは結構誤解が多いと思います。
最近の車はドアを閉めると本当に静かですし、気に入った音楽をかければ自分だけの空間がそこにはあります。
自動車の車内は世間とは隔離された状態なのです。
だからって積極的に自動車に乗るよう勧めたりはしませんが、それほど恐れる必要もないと感じますね。
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