統合失調症の判断基準って?ICD-10とDSMの考え方について
2017/06/10
統合失調症の診断の実際は?
まず自分が統合失調症での自覚、あるいはその疑いを感じたら、家族の同意は完全に無視し良いので、近くの心療内科や病院で精神科あるいは、それに該当する専門科に受診を検討するべきです。
初期症状は「体がだるい」、「眠れない」、「いつもイライラ感がしているなど」小さいことで構いません。
また専門クリニックは、患者との話す時間を確保するため、完全予約制であることがほとんどです。
そして自分で調べて「統合失調症である」と、自己判断は避けるべきです。
専門医の診察は精神障害には、絶対不可欠です。
それと初診からいきなり「貴方は統合失調症です。」と診断される事はありません。
長い間の通院期間と頻度で、あくまで「その可能性が高い」となり、就業や学業に影響が出てきた場合で、それが困難で支援や補助が必要となった場合に、障害者福祉手帳の所得を検討し、そこで「統合失調症」である診断書が書かれることになります。
また治療中、投薬が行われますが、現在ではほぼすべての医療機関で処方薬は、
「お薬手帳」が配布されますから、心療内科や精神科で、統合失調症の診断が明言されなくても、処方薬を調べれば、およそ自分の症状が理解できます。
統合失調症のような複雑な症状を併発する精神障害では、心療内科や精神科でも診断は極めて、判断が難しく専門医は少ないことは予め考えておくべきです。
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統合失調症はどこへ診療へ行くべき?
最初の診察は、どこでも構いません。私の場合は市立病院で不眠を理由に相談して、脳神経の専門医に診てもらって、睡眠導入剤を処方されました。
そこから、症状が色々あることに気が付き、心療内科などに切り替わっていきました。
大きな病院は、予約がなくとも、そこで初診日を決めることも出来るのでオススメです。
薬の処方や治療が始まったら、入院以外は投薬と医師との話がメインになります。
治療と言っても具体的な技術があるわけではありません。
特に「話」は重要で、医師は患者の話から表情、目つき、考え方や思考性、日常生活を知ることになります。
具体的な治療は、症状の緩和が入院以外では主体です。
診断基準などは、ここで活用されます。
ただ投薬には規制があり、現状では最大14日までの処方しか、医師は出せないことになっています。毎日飲むかどうかは、患者の判断に任されます。
統合失調症も含めて、診断基準で障害が確定されても、「強制入院」はありえません。必ず、患者の同意が最優先されます。
また診断基準に家族の同伴が強要されることも無いです。
DSM-Ⅳが使われなくなったわけ
かつて精神病という名称が使われていた時代に、アメリカの診断基準が日本で採用れていた時期がありました。
それがDSM-Ⅳと呼ばれるもので、非常に定義が明確化されておらず、医師の診断基準としては、個人差がかなり出るため、今では採用されていません。
といいますか、この診断基準を適用する診療は、少々誤診も多く危険ですね。具体的な定義を、医師の経験だけに頼るような部分が多すぎるのです。
またマニュアルもほとんど、正確な翻訳がされず、誤訳も多いのが特徴となっています。その例が「精神分裂病」という用語の誤りでした。
これは「思考性が複数同時に引き起こされる」という意味の学術論文を、「独立した思考性、バラバラな精神構造」と誤解したために、命名されてしまった例です。
そのため統合失調症の診察における診断基準は、統合失調症の特徴が大きく出現する、急性期と消耗期の中で診断基準としています。
だからこそ、統合失調症全てが同じ症状ではなく、前段階、前兆の頃に、統合失調症の診断基準を適用するのは危険なのです。
これは障害によって著しく生活に支障が出てくる際に、心療内科及び精神科において初めて診断基準が採用されます。
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ICD-10とはなんですか?
国際機関であるWHOが定めた、標準的でシンプルな診断基準がICD-10です。全部で9つの診断基準が具体的に明記されています。
ただし、心療内科、精神科などの医療関係者以外では誤解を生じやすいので、簡潔にその内容をご紹介しますね。
精神科や心療内科の診察でも、初期段階の統合失調症患者は、自覚はなくとも通院できる状態だといえます。
従い1対1の診察は可能です。ICD-10は、急性期を過ぎて消耗期に差し掛かれば、ある程度治療も順調に行なえます。
そこで、患者の過去の行動や言動を、一応正確に知っている人物、家族や本人など複数で診察を受けるほうが、診断基準は正確になります。
まず診断基準1から5までは、妄想、虚言、幻覚など、統合失調症の急性期に見られる激しい症状についての診断基準です。
これは、患者と家族などからそうした言動、あるいは記憶から診察して判断します。
次は寡黙の時期とその程度、他人を拒絶し引きこもるなどの具体的な行動、脈絡のない会話が成立しない言語的な障害、
姿勢が固定される蝋屈などの症状を、診察し、診断基準と垂らし合わせます。
そして無気力、目的達成意志の喪失、これらの消耗期にみられる症状が、過去にあったとか、現在進行しているか診察し、診断基準6から9に照らしわせます。
急性期に見られる症状が最低でも1つか2つ、消耗期に見られる症状が最低でも2つ以上、診察で診断基準と合致し、明らかに1ヶ月以上継続する経験があれば、統合失調症の可能性は高いと診察で判断されます。
繰り返しますが、くれぐれも統合失調症を自己診断するとか、身近な人をICD-10で勝手に決めて付けて診断しないことです。
これはあくまで心療内科、精神科専門医のための診断基準です。
セカンドオピニオンは絶対のルール
統合失調症の診察で重要なのは、セカンドオピニオンです。
つまり、主治医と他の心療内科医と、個別にそれぞれ診察をした方が、治療も良い場合が多いです。
精神科、心療内科ほど、当たりハズレが激しいものはないからです。また専門医で年齢が高い医師だから、信頼を寄せられるものでもありません。
精神障害に関しては、年々新薬や新しい治療方法が常に模索されています。
場合によっては、新しい治療方法の方が、統合失調症には効果的な場合もあるのです。
家族の進言は無視しても良い
最後に、家族と統合失調症の関係、それと診断基準の関係について説明しますね。
統合失調症のような精神障害は、本人の「性質」つまり脳障害に近い部分と、環境と状況が絡み合って発現し、
それが修正の機会である「休息」を失い、長い間の緊張と繰り返す思考によって、悪化するものです。
このため、全ての統合失調症の人が、急性期に向かうわけではありません。よって誰がその「性質」を持つのかは誰にもわかりません。
家族と統合失調症も同じで、血縁なのか、家庭環境なのか全く不明なのです。
ですが、治療を決意し、治そうと思うのはあくまでも統合失調症本人の意志です。それを必ず尊重するようにしましょう。
家族がいくら「正常」を希望しても、それが統合失調症にとって、悪影響なら無視するべきです。それが最も治療に寄与することを忘れてはならないと思います。従い、心療内科及び、精神科と相談する相手は、第一に統合失調症の本人であるということですね。
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