集中ができなくなっていく統合失調症における認知機能障害について
2017/04/08
統合失調症の認知機能障害
認知機能障害は、統合失調症にみられる典型的な症状の一つとなります。
人間は知的な行動を行うときには、脳に蓄積されている記憶を用いてそれを判断基準にしています。
統合失調症の認知機能障害の場合には、疾患による脳の機能異常によって、このような知的な行動を行うことができなくなってしまいます。
認知機能障害がでてしまうと、例えば以下のような問題を解くのに非常に長い時間を要してしまうことが多くなります。
「値段のわからないバナナを10本と50円の蜜柑5個を買いました。1000円だしたところおつりは50円でした、バナナの値段はいくら?」
このように、いくつかの情報を統合しなくてはいけない場面において、脳が正常に機能しなくなってしまうのが認知機能障害の典型的な症状になります。
スポンサーリンク
統合失調症の認知機能障害の社会生活における問題点
統合失調症の認知機能障害が出てしまうと、相手の言っている内容を上手く理解できない。
さらには、自分の考えていることを上手くまとめて表現することができなくなってしまうので、著しいコミュニケーション異常が起こってくることになります。
他人とのコミュニケーションができなくなってしまうと、一般的な仕事を行っていくことが非常に困難になってしまいます。
さらには、家族との意思疎通も難しくなってしまって、孤独な環境に置かれてしまうことになります。
その誰にも理解してもらえないという孤独な環境が、さらに統合失調症を悪化させてしまう原因となるんです。
統合失調症の認知機能障害の家族
認知機能障害が出てしまうと、コミュニケーションにおいて大きな問題が起きてしまいます。
家族の場合には本人をそのままにしておくこともできないので、困ったことに成ってしまいます。
もちろん、孤独にしてしまうことは絶対にしてはいけないことであるのは言うまでもありません。
以下の様に対応してあげるのはとても有効な方法になります。
統合失調症の気持ちを十分に理解してあげることが必要になります。
苦しみを家族は共感してあげることができれば、大きな救いになります。
スポンサーリンク
認識機能障害を理解する
まずは、家族が認知機能障害について十分な知識を持つことが重要になります。
そのことが大きな安心感を与えることになります。
家族に読んでほしいおすすめ本は、この「家族が統合失調症と診断されたら読む本」です。
この本の著者福智寿彦さんは、25年もの間統合失調症によりそって治療を続けられているかたです。
そのため周りがどうサポートすれば治療に良い影響を与えるか。
本人がどのような気持ちになり、どのような行動をすれば回復できるかなどが、具体的なエピソードを通して書かれています。
統合失調症だった僕自身が当時読んで、心の支えとなっていた一冊です。
ストレスを減らす
認知機能障害は大きなストレスになっていることが多いものです。
ストレスを感じさせないような環境作りを、家族がしてあげることも重要なポイントになります。
例えば、無気力で何もできなくなっているときに、病気が発症する前に好きだったことを一緒にしてみるのも一つの治療法です。
模型作りが好きだったら一緒に作ってみる。
ピアノを弾くのが好きだったら、家族が弾いてみて音楽の楽しさを感じさせる。
歌を歌うのが好きだったら、音楽にのせて歌ってみるなど、楽しいことを思い出させることは有効です。
好きだったことを一つでも思いだし自らができるようになれば、そこから少しずつ回復していくきっかけができます。
楽しみを共感する
認知機能障害の場合には、人よりもいろいろなことをやるのに多くの時間が必要になります。
苦しく辛い時間が長く続くので、本人が楽しいと感じるときを一緒に過ごすことで、「同じ気持ちを分かち合えた」と気持ちが繋がる部分があります。
ゆったりとした環境を家族が作り上げていくのも大きな効果を生みます。
苦しみを共有する
認知機能障害の苦しみは本人しかわからない部分が多いものです。
その苦しみを家族が共有できれば、励みとなります。
例えば、家族は統合失調症に入り込みすぎると、その精神的ストレスからうつ病を発生しやすくなるケースが多いです。
そのため、自分がそうならないために、家族であってもあまりに深入りするべきではないというのが基本です。
しかし僕の母は、僕が泣きながら不安を訴えているとき、同じように涙を流しながら「辛いね。今が一番辛いときだよ」
と、苦しみをしっかりと共有してくれていました。
それは僕が統合失調症を回復するにあたって、心に突き刺さり、完治を促すことに繋がりました。
あまりに統合失調症の苦しみを理解するのもリスクがありますが、家族のかたもリラックスしながら、その苦しみに寄り添う姿勢をみせてあげましょう。
スポンサーリンク