失態を犯す前に!統合失調症で急にイライラしたときの対処法
2017/06/24
統合失調症はなぜイライラするのか?
統合失調症の方は、よく「症状が複雑」と言われていますが、思考の流れはそれほど複雑ではありません。
普通の人が健忘と記憶を上手に頭の中でコントロールできるのに対し、統合失調症は一つの事が終っても、長い間複数の事が思考の中にとどまり続けます。
そのため、一言で言えば「思い込みが激しい」部分があるのです。
これは妄信とは違って、結論の出ない会話や、仕事でも常に中途半端で次の作業に移るようなケースでは、頻繁にイライラするものです。
一節では脳のドーパミンの過剰分泌では無いかと言われていますが、まだまだ医学的にそこまで解明されてはいません。
ただし何らかの脳神経の障害が起こって、正常に機能しない事だけは、国際的な学会では発表されています。
つまり脳内で正常に情報が伝達されず、例えるなら「ひとまず棚に上げておく」という事が、統合失調症には出来ない、出来にくいのです。
これは訓練では改善することは難しく、むしろ周囲の環境にかなり左右されます。
人の幼少期には、多くの子供で「同じことを何度も繰り返す」という行為を、非常に好むことが多いです。
これは複雑な思考よりも、目の前の事象に対して1対1の対応しかできないためです。
成人になるに従い、普通であれば「テレビを見ながら家事をする」とか、本を読みながらでも、人の会話は多少なりとも耳に残るものです。
この場合、どちらが優先して自分がやるべきことかどうかは、脳の中では取捨選択を行っています。
普通の人のストレスとは、頭で考えることは数が多いとか難題に対する負荷ですが、統合失調症のストレスとは、
思考が勝手に想像で進行し、それを止められない疲労感になります。
従って、脳の活動も一定の期間を過ぎて限界を迎えると、疲労とそのストレスで感情がフラットになる特徴があるのです。
反対に、この幼少期に繰り返し同じイタズラを何度も繰り返してされた場合、それがイタズラを去れた本人にとって不愉快なら、誰でもイライラするはずですよね。
こうしたパターンは成人も起こり得る場合があります。
それが他人の持っている性質、癖となって一緒に対人関係で繰り返された場合、相手が統合失調の人の場合は、反応が普通の人とは違ってくるのです。
統合失調症でない人の場合は、うるさい人にには自分で対処できるものですが、
統合失調症の方は、そうした対処方法を知らないばかりか、イライラが過剰に達してしまって、それだけで思考が脳の中で繰り返されます。
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未完に終わる事への対応
統合失調症が悪化する最も深い関係のある原因は、間違いなく対人関係以外にありません。
問題はこの対人関係自体が、ある種のパターンが大抵はあるという事です。
例えば、会社や学校では、同僚や友達同士での繋がりの関係上、常に自分を優先して何でも出来るわけではありません。
場合によっては、予め自分が決めた事を後回しにして、相手の都合に合わせる場合があるでしょう。
この「未完に終わる事」が継続的に起こると、統合失調症のイライラはどんどん蓄積されます。
普通では何でもないことですし、嫌なら断れば良いだけですが、「自分は変わった人間と思われている」といった自覚を、統合失調症の人が抱えていれば、対処は決して容易ではありません。
統合失調症のイライラは、ストレスというより「他人と自分を合わせる」という行動や言動自体が、上手にコントロールできないのです。
個別に「この人は適当にあしらえばいい」とか、「相手にしない」という事はなかなか難しいのです。
イライラはやがて潜在的な怒りとなり、脳神経を更に興奮させます。この状態が長く継続し、それがストレスとなっていくのです。
対人関係の中で「結論の見えない事」は非常にたくさんあります。
ほとんど多くの人には、「常識」や「体裁」を基準に、本音と建て前を幼少期から使いこなすからです。
しかし統合失調症のイライラ解消のために、他人が対処してくれる方法を作って来るかは別の話ですよね。
従って、イライラしてくるパターンを統合失調症の人は、自分で認知することが非常に重要なのです。
イライラは統合失調症の初期症状
統合失調症には、初期症状には自分の心に得体の知れない違和感を感じています。
それは誰でもあるようなもので、「なんとなく落ち着かない。」、「じっとしていられない」などです。
これは幼少期、よく”子供は落ち着きがない”と言ったりしますが、既に統合失調症の片鱗はそこにあります。
実はこれはストレスによるものではありません。本来、子供は非常に単純な思考で1対1の関係以上に、複雑な人間関係を持つことはあまりありません。
ただ、他の人や物事に関心が多いだけです。
ところが子供がやれることは、非常にシンプルですので物事に対しての対処は、必ず一つやってから他に移行するということだけです。
そうでなければ、子供はやる事の複雑さにパニックになるでしょう。
話が少しそれますが、大人同士の複雑な人間関係の中に、子供が輪の中に入ると、情緒不安定になりやすいのは、こうしたある種のパニックでもあります。
理解できない上に、想像でも補完できませんから、精神的なストレスとなるのはこうした理由もあるのです。
こうした複合的な事柄がいくつも存在するような環境、それは統合失調症の方には、
やがてイライラしてその対処方法が見つからず、常に同じ事を考えるようになり、それが統合失調症の急性期となって表れます。
統合失調症のイライラは、非常に継続性が長いのが特徴です。
こうなった場合、そのままでは統合失調症の人が、自分でストレスを軽減することは難しくなってしまいます。
統合失調症の陽性反応について
ここで統合失調症の陽性反応について、少し詳しく解説します。
統合失調症の急性期には、現実と想像の区別が曖昧になる事が多くなります。
これは、別の言い方をすれば、もうすでに新しい情報は脳はあまり受け付けてくれない状態です。
つまり想像力だけが先行し、物事を別の視点で考えることが出来ません。
ここで勘違いしやすいのは、こうしたイライラとは「くよくよ悩む」という反応ではないという事です。
ここが一般の人と思考の方向性が違います。統合失調症の初期症状では、なんとなく疲れたように感じたり、やる気が失せたりしますが、急性期に入った統合失調症は、脳だけの活動は非常に活発です。
本来は人の考えていることなど、誰でも理解できるものではありません。
ここを統合失調症の方は、何とか「想像力で埋め合わせをしよう」と対処してしまうのです。
それが「妄想」です。自分が追い込まれ、立場が弱くなるとある日突然、「自分は本当は天才だ」とか、根拠もない虚言もここから発展していきます。
これが統合失調症の陽性反応です。具体的に根拠や証拠も無い中でも、確信のようなものを強く持つようになります。
物事に対する反応、それが必ず想像の方へ引っ張られ、想像で対処しようとなるのですね。
普通の人は、曖昧なものは曖昧なままで、場合によっては健忘、つまり忘れてしまうものです。
物忘れも、普通の人にとっては、ストレスを回避する本能的な部分なのかもしれません。
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興味喪失の前に、意識を逸らすやり方
統合失調症の自覚がない状態でも、イライラとかなんとなく落ち着かないといった場合、一番対処として良いのは、環境を丸ごと変えてしまう事です。
単純に言えば、場所と人を完全に取り換えることです。しかし非常に、現実では難しいでしょう。
そこで、イライラが起った時に薬物療法に頼るのが、最も有効です。気分を安定させるものや、抗精神病薬などですね。
その状況にしばらくとどまっていなければならない場合は、投薬によって脳の興奮を物理的に止めるのが実は効果的なんですね。
まず、気晴らしに何か他の事をやるとか、余計な事を増やす前に、脳の興奮を鎮める方が先決です。
こうした抗精神病薬などの対処法は、急性期に差し掛かるか、その途中なら効果はありますが、無気力や脱力などの急性期を過ぎた消耗期には効果はありません。
ですから、イライラを自分で何とか対処しようとするのではなく、「イライラは症状」といった方向へ意識を逸らして、投薬に頼るのは有効な手段、対処方法になるんです。
イライラを感じやすいタイプの人
次にイライラを引き起こす側の人のタイプについて、ちょっと考察してみましょう。
統合失調症の人には、相性の合わないタイプの人が結構いるんですよ。
まずプライドが妙に高いが、立場は自分と同じような人です。
他人と自分を比較して、ある意味他人に「レッテル」とか、あだ名をつけたがるようなタイプの人ですね。
統合失調症の自覚があるなら、まず「誰とでも仲良くなろう」という意識は持たない方が良いです。
統合失調症の方は、よく「症状が複雑」と言われていますが、思考の流れはそれほど複雑ではありません。
症状の悪化は、統合失調症の理解が無くとも統合失調症の人の方で、対処していくしかないのです。
年齢が同じで、全く同じ職業や同じ学科の学生など、そういった平等な人間関係の中にも、他人を区別したがる人は多いものです。
もう一つは、結論やもったいぶるような言い方をするような人ですね。
統合失調症の方は、複数の事を記憶し、それを引き出しながら組み合わせ、記憶の取捨選択が難しいのです。
簡潔に物事を話せるというのは、統合失調症の人には非常に安心感を与えるものです。
統合失調症の人のイライラは、他人から見れば理解に苦しむものですが、それは「想像の産物」だからです。
余計な想像をいくつも作ってくるような話し方をする人とは、統合失調症の人には全く相性が良くありません。
意味の無く思い出し笑い、大きな声の人も避けた方が良いですね。
陰口や悪口は誰でも言うものです。しかし統合失調症の人が目の前にいたからといって、それが悪影響するわけではないのです。
記憶のなかから呼び出した事を想像力で理解しようと何でもしてしまうところが、統合失調症にはあるのです。
その不自然な理解が、現実でも結論や完結が見えないために、イライラは増幅されます。
想像で理解したつもりでも、現実では全くその確信も証拠もありませんし、それでも同じことが繰り返されるわけです。
これがやがて妄想や幻覚となって、統合失調症のストレスになります。
ストレスは軽減よりも、回避すること
統合失調症のストレスと、一般の方のストレス対処方法は全く違う事をまずは理解しましょう。
単純に考えすぎとは言えない、統合失調症の思考の流れがそこにあります。
そして、非常に人のいる環境によって、統合失調症は悪化もしやすいのです。
精神障害の中で、統合失調症の方が、急性期で入院が必要となるのはこのためです。
逃げ出したいけど、その場にいるしかないのなら、脳の想像力を止められなくなります。
普通の人は理解できない謎の部分は、放置してもあまりマイナスに考えることはしませんよね。
しかし、全てが自分と関係あるとするなら、対人関係でのトラブルなどは確実にマイナス思考の引き金になります。
イライラも軽度か重度の違いで分けるのではなく、必要に応じて投薬、どうしても恒常的に継続するなら、やはりどこかで入院などの「環境の大幅な変更」を行うことも、検討するべきでしょう。
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